猫背

●筋力低下

姿勢は骨と筋肉で支えられているため、筋力が低下するとバランスよく姿勢を支えられなくなるといわれています。
とくにお腹や背中の筋力が低下すると猫背になりやすいです。
筋力が低下する原因には、加齢やデスクワークなどが挙げられます。

・加齢による筋力の低下

年齢に伴い筋肉は衰えていき、筋力は低下します。
加齢による筋力の低下は、「輪っかテスト」で確認できます。
人差し指と親指をあわせて輪っかをつくり、ふくらはぎの一番太い部分を囲みます。
この時に指を掴めなければ筋力低下輪は弱く、隙間が大きくなるほど筋力が低下しているといえます。

・デスクワークによる筋力の低下

デスクワークでは座った姿勢が長時間つづきます。
人間の筋肉の多くは下半身に集まっているため、デスクワークが長くつづくほど下半身を動かすことが減り、筋力の低下につながります。

 

●不良姿勢

日常的に姿勢が悪いと筋肉のバランスが崩れ、猫背になりやすいといわれています。
パソコンやスマホ使用時には首が前に倒れ、うつむき姿勢になることで背中が丸くなりやすくなります。

足を組む、あぐらをかいて座る、立ったときに重心を片側に寄せるなどのくせも、筋肉のバランスが崩れることにつながります。
女性の場合であればヒールを履くことでつま先に重心がかかり、反り腰になってしまう方も多いようです。

 

●圧迫骨折を繰り返してしまっている

おもに高齢者においては、圧迫骨折を繰り返すことで猫背になってしまう場合があります。
圧迫骨折とは腰にある椎体という組織へ圧力がかかることで生じる骨折で、加齢に伴い骨密度が低下して骨が弱ってしまうことで生じやすくなります。

骨が弱まると、くしゃみや転倒など軽い外力でも骨折することがあります。
圧迫骨折をすると骨が変形して背中が丸くなり、そのまま猫背姿勢になってしまう可能性があります。

●呼吸が浅くなる

猫背姿勢の場合、前かがみになることで胸郭が狭まり、内臓が圧迫されてしまうと考えられています。
内臓が圧迫されると、肺や呼吸器に負担がかかるため呼吸が浅くなりやすいです。
呼吸が浅くなれば肺に取り込まれる酸素が少なくなるため、疲れやすさや集中力の低下につながる可能性もあります。

 

●内臓の不調

猫背によって内臓が圧迫されてしまうと、さまざまな内臓の機能低下へとつながります。
猫背が原因で起こる内臓機能の不調には、便秘や消化不良、婦人科系トラブルなどが挙げられます。

 

●肩こり

猫背姿勢になると背中が丸まり、頭が前に出てしまいます。
すると、重い頭を支えるために首から肩の筋肉へ大きな負担がかかってしまう可能性があります。
負担が蓄積されると肩まわりの筋肉が緊張し、その筋肉が硬くなることで肩こりが生じるといわれています。

 

●腰痛や膝の痛み

猫背になると身体のバランスが崩れ、身体の土台である骨盤へかかる負担が大きくなります。
骨盤への負担が蓄積されることで腰まわりの筋肉が緊張し、腰痛を引き起こすといわれています。

また、骨盤へかつながっているため、下半身のバランスが崩れることで膝への負担が大きくなり、膝に痛みが生じやすくなります。

 

●冷え、むくみ

猫背姿勢で部分的な負担が強まると、負担がかかっている筋肉が緊張し血行不良へつながるといわれています。
その結果、冷えやむくみを引き起こしてしまう可能性もあります。

●深呼吸をする

正しい姿勢を習慣にするには、呼吸を意識することが大切です。
お腹に力をいれて深呼吸をすれば、硬くなっていた筋肉を伸ばすことができるといわれています。
筋肉の硬さがやわらぐことで体幹が安定するため、正しい姿勢を維持しやすくなります。

 

●運動やストレッチをする

日頃から身体を動かさないでいると、筋肉が硬くなってしまいます。
猫背の状態が記憶されて筋肉が硬くなってしまうと、正しい姿勢を維持しようと意識しても気づけば猫背に戻ってしまうことが多いです。
正しい姿勢を維持できるように運動やストレッチをして筋肉の柔軟性を取り戻し、あわせて筋力も高めていきましょう。

・背中の運動

日常的に動かすことの少ない背中は筋力が低下しやすい部分であるといわれています。
タオルを使った運動で肩甲骨を動かしていきましょう。

①頭の後ろ側でタオルの端と端を両手で持ちます。
②肘を曲げて、肩甲骨を寄せます。
③肩甲骨が寄った状態で、タオルを頭上へゆっくり持ち上げます。
④この動作を繰り返します。

・背中のストレッチ方法

ストレッチはお風呂あがりなど身体が温まっている状態で行うと、筋肉が柔らかくなりやすいため、より高い効果が期待できます。

①仰向けの状態で寝て、肩甲骨の下へ畳んだタオルを敷きます。
②そこから万歳の姿勢になるように両手を挙げ、1分間ほどキープします。

●正しい姿勢を意識する

日頃から正しい姿勢を意識し、維持できるようにすることが大切です。
背筋を伸ばし、耳の後ろ・肩・骨盤・くるぶしの4点が一直線になることを意識すると正しい姿勢を維持しやすくなるといわれています。
このときに、胸を反りすぎてしまうことや、うつむき姿勢になってしまわないように注意しましょう。

 

●デスクワークの環境を見直す

デスクワーク時には手元を見ることでうつむき姿勢になり、猫背へつながることが多いといわれています。
デスクワークで正しい姿勢が維持しやすいように、デスクまわりの環境を改善しましょう。
パソコンの画面が目線より下になるとうつむき姿勢になりやすいため、机や椅子の高さを調整してみてください。

 

●長時間同じ姿勢をつづけることは避ける

姿勢が崩れた状態で長時間過ごすことで、筋肉は不良姿勢の状態で硬くなってしまいます。
そのため、パソコンやスマホを長時間使用することが姿勢の悪化につながるといわれています。

パソコンやスマホの長時間使用を避け、使用する場合には1時間ごとに休憩を挟むなどしましょう。
休憩では姿勢を変えることや、簡単なストレッチをすることをおすすめします。

 

●筋力を高める

筋力が高まれば、正しい姿勢を維持しやすくなるといわれています。
日頃から運動や筋トレで筋力を高めるようにしましょう。

筋トレの場合は、背中やお腹の筋肉をトレーニングをすることで正しい姿勢の維持につながります。
また、毎日つづける運動としてはウォーキングなどを行うこともおすすめです。
適度な運動は血行が促進され、筋力の柔軟性を維持することに効果が期待できます。

当院では猫背を現代病として捉えています。
スマホやタブレット、パソコンの普及により、猫背による頭痛、首や肩のコリなどを訴える方は増えており、今後は目の疾患とともに猫背に悩まされる方はさらに増加していくと考えています。
猫背により内臓が圧迫されてしまい胃腸の不調を訴える方も少なくありません。

猫背は、背中が張りお腹が収縮してしまっている状態をいいます。
背中ばかりに意識がいきがちですが、お腹側の横隔膜の動きも重要になってきます。
当院では背骨から骨盤の関節を優しい圧で動かしていき、肋骨や横隔膜の動きをつけていきます。

また、マスク生活が日常化して呼吸が浅くなってしまっていることも、猫背の形成に拍車をかけている一因だと考えられるため、大きく深呼吸ができるようなアドバイスも行っています。
深呼吸により、酸素が肺で血液中に取りこまれ、心臓に送られることで酸素が全身を駆け巡ります。

姿勢が乱れ猫背になることで日常生活に支障をきたしてしまう場合もあります。
当院での施術や深呼吸を通して猫背を一緒に改善していきましょう。